四季に応じた生活法

心身共にゆったり過ごし、
温かくして、精を蔵する季節

日本の冬は「寒・大収・大燥」の季節。
万物の機能が潜伏内蔵し閉じこもる、陰の季節です。「精を蔵し、腎気を養う」(生命力を蓄える)ことが重要となります。
寒さが厳しい為、養生が大切となります。
五臓では生命力・免疫力・水分調節や足腰等と関係する「腎」が影響を受けやすくなります。

冬の特徴と生活

心身共に活動的にならず、ゆったり休養し、体を温め、陽気を乱さず精を蔵する工夫が必要となります。

[寒・大収・大燥・蔵]
衣服
寒さに備える為、毛類や厚着で、汗をかかぬよう、しっかり保温します。
色は収める黒、陽気を与える赤・橙・黄もよいです。
食事
「食養法」を基本とします。

冬の寒気への対応
体を温めるもの(葱・生姜・シナモン、味噌、えび、かぼちゃ、甘酒 等)、温かい飲食(加熱食、鍋料理)、時にはお酒(少量)も良いです。
※冷飲食、生のものは控えます。
※酒は本草書では熱(体に熱気を与える)、マクロバイオティックでは、陰性(発散する為)としていますが、貝原益軒は「冬期にでて遠く行かば、酒を飲みて寒さを防ぐべし。空腹にて寒さにあたるべからず。酒を飲まない人は、かゆを食ろうべし。生姜をも食ろうべし…」と述べています。飲みすぎはよくありませんが、上手く役立たせることです。
冬の乾燥への対応
体に潤いを与えるもの…豆腐、胡麻、みかん、りんご、れんこん、山芋、ハチミツ等
※香辛料の摂りすぎは乾燥を促すので注意。
旬のもの
根菜(れんこん、大根、人参 等)、白菜、ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、牡蠣、たら、かに、ゆず、みかん、りんご等
蔵精の冬
冬眠する動物もいますが、人は米(玄米・臑米 等)・根菜・魚貝類・豆類・種実類 等を、胃腸の負担にならないように、適度な量を上手く調理し、よく噛んで食べ、蔵精に役立てます。
(腎を養うもの:黒豆、黒胡麻、黒米、栗、くるみ、山芋、えび等)

※果物、豆腐は体を冷やす為、温めて食べるか、少量とします。
※キムチを含めた香辛料・酒・肉類・餅類の摂りすぎは、内熱や瘀血を作りやすくするので注意。
体の操作
日中の温かい時間を利用して、軽い運動を(汗をかきすぎる運動は避けます)。
丹田を充実させるものが良いです。呼吸法、気功法、ヨガ、太極拳等。
心の在り方
一年のうちで最も閉鎖系にもっていきます。春の解放の前として、色々と蓄えたり、ゆったりと安静した気持ちで過ごすことが大切です。
環境
  • 暖かく、乾燥を防いで過ごします。
  • 厳寒の為、コタツ・湯たんぽ・あんか等の様々な暖房器具を上手く利用します。
    貝原益軒のコタツについての「これにあたれば、身を温め過ごし、気緩まり、身おこたり、気のぼせ目をうれう。ただ、中年以後の人は、火をぬるくしてあたり、寒さを防ぐべし…若き人は、用いる勿れ…」も、教訓として受け入れていくとよいです。
    寒がりの人で電気敷毛布や電気毛布を使う人もいますが、本来自分の体温と敷・掛け布団でつくり出す温度が最もよいので、外部より熱を与えてしまうと寒への適応力が一層弱ってしまうのでよくありません。
    ※暖房の部屋にいると体の周りにも暖かい空気の膜が出来てきます。その結果、衛気の防御作用が減退していますので、隙間風が入ってくると、その当った部分が寒冷に侵されて神経痛・リウマチ・痛風等の原因となったり、既に病んでいる人は悪化しますので気をつけます。
  • インテリアは暖色系を取り入れるとよいです。
休息
他の季節よりもしっかり睡眠・休養をとりましょう。
入浴
湯船で温まり、血行・代謝を良くしましょう。

食養法

食は体や心の
健康をつくります

基本

食への感謝の心(食ベ物のいのち、大自然の恩恵、食べられるまでに関係した人々への感謝)
楽しく、感謝していただく。「いただきます」「ごちそうさま」

主食・副食

穀類を主食として、色々な種類の食べ物をバランスよく摂りましょう。

主食
穀類
:お米(発芽玄米など)を中心に、蕎麦・麦類など(季節・地域に応じて)
副食
野菜、きのこ類、海藻、豆類、魚介類、果物など

風土や季節、体調に合わせて

住んでいる土地の風土や季節、そして食べる方の年齢、性別、職業、体質・体調等に合った食を考えましょう。体に聞く事が大切です。

  • その土地の旬の食べ物(身土不二)
    :新鮮で栄養が豊富なだけでなく、その土地・季節に合った働きをもち、体を整えます。
  • 食べ物には五色、五味、五性があり、それぞれ働きがあります。
    五色(青・赤・黄・白・黒)
    五味(酸・苦・甘・辛・鹹)
    五性(寒・涼・平・温・熱)
    季節や体調に合わせてバランスよく摂りましょう。(調理の仕方により、五性、五味は変化します。)

摂りすぎに注意するもの

冷たいもの、生のもの、甘いもの、脂っこいもの、味の濃いもの、香辛料、コーヒー、アルコールは摂りすぎに気をつけましょう。

調味料

調味料はできるだけ添加物の入らない本来の製法で作られたものを選びましょう。

塩・砂糖
精製されていないミネラルが豊富なもの
味噌・醤油
充分に発酵されたもの

調理の仕方

  • 調理や組み合わせで、食ベ物のバランス、味・形・色合いを整えます。
  • 加熱・生食、臨機応変に取り入れ楽しみましょう。
  • 全体を無駄なく使いましょう。(全体食・生命食)
    (丸ごといただけるものを選んだり、皮等も可能な範囲でむかずにいただくか、上手く活用しましょう。)
  • 日本伝統の保存食・伝統食(味噌・醤油・梅干・たくあん・納豆・ぬか漬け・酢・みりん等、だし、味噌汁・煮物など)を大切にしましょう。
  • 油を使う時は酸化に気を付けましょう。

食べ方

  • よく噛んで、食のいのちを感じ、味わい、観察しましょう。
  • 腹八分目に(基本的に体に聞きます)。
  • お腹が空かない時、体調が悪い時などは無理に食べないように。

※色々な食養法、手当てがありますので、
必要に応じてとり入れるのもよいです。

食養法について ▼
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冬を快適に過ごす為に

冬を快適に過ごす為には、第一は秋からの準備、つまり、秋の健康法を参考に健やかに過ごすこと、第二は、冬の気候に適応していくことになりますので、この2点について述べていきます。

1.秋からの準備

『素問』四気調神大論篇で「秋の三月…これに従えば肺を傷り、冬に飧泄を為る。蔵を奉けるもの少なし」と述べているように、秋に肺気を清め、内外から寒を去り、温の状態で冬に向かうとよいのですが、内外に冷えを残したり、燥の状態で冬に向かうと、冬の気候へ適応していく為、自己治癒力により様々な症状が出てきます。従いまして、秋の健康法を充分生かすことがそのまま冬の健康法につながってくることになります。

2.冬の気候に適応していく

「冬の特徴と生活」のところで述べたことにつきます。
衣食住から体の操作・心の在り方等、冬の閉蔵に適応し、腎を養うことに重点をおいていきます。

冬の主な症状

  • 感冒
  • 肌荒れ
  • 乾燥肌
  • あかぎれ
  • 腰痛
  • 神経痛
  • 霜焼け
  • 膀胱炎
  • 月経痛
  • 冷え症等
※現在、地球規模で気候の変動が起きており、季節の特徴にも変化が出てきております。
そのため、ここで述べたこととのずれも生じてくるかもしれません。
一人一人適応する方法を創造していくチャンスでもあります。ご不明な点はご質問ください。

当院ではお悩みを丁寧に伺い、
伝統医学をもとに、
ひとりひとりに合った方法で、

健康をサポートいたします。

ぜひお気軽にご相談ください。

当院をご利用のお客様でご希望の方に、院長著書の養生法をまとめた冊子(「いのちのしくみ」をあじわう / 和器出版)を差し上げております。ぜひご活用ください。

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