四季に応じた生活法

心身ともに開放し、
活動的になる季節

夏は万物が陽気に満ち、繁栄する時期。心も体も活動的になり、新陳代謝も活発となります。
満開のお花のように、心も充分開放し、体内の陽気も外に向かって開放しほどよく発散します(「大散」)。
また、蒸し暑い気候「暑湿」と、それに適応しようと涼を求めることによって生み出される「冷え」もポイントとなります。
五臓では血液循環、精神・意識等に関係する「心」、飲食物の消化・吸収、水分代謝等と関係する「脾」が影響を受けやすくなります。

夏の特徴と生活

  • 暑湿・大散の気候に適応していくために、体を少し涼しくさせ、湿も滞らないようにしながら、発汗による消耗も防ぎます(※発汗は体の潤いと共に体力(気)も消耗します)。
    ※※適度な発汗は熱放散による体温調節のために大切ですが、過度な発汗は身体に必要な水分や体力も消耗するため、注意が必要です。
  • 冷房や冷飲食等の過多は、体表の防衛力を弱めて冷えを受ける為、夏風邪を引き起こし、脾の働きを低下させて、不消化性の下痢を引き起こしますので注意が必要です。
  • 暑さが厳しいため、熱中症への注意が必要となります。
[ 大散・暑湿 ]
暑湿
蒸し暑い・大散
発汗
心身の浄化・開放
涼気
ほどよい涼しさ
衣服
吸湿性・通気性が良く、開放感のあるもの。麻・綿等。
※炎天下では、帽子や日傘を利用したり、冷房が過度な場所では、上着等で調節することも大切です。
食事
「食養法」を基本とします。
よく噛み、体調に応じて下記のものをとり入れると良いです。

発汗による消耗
(水分・ミネラル・ビタミン等)を
補うもの
発汗により失う水分・ミネラル・ビタミンを補うもの
塩番茶・梅茶・柿茶・枇杷茶・麦茶・蕎麦茶・豆茶、きゅうり・トマト等の夏野菜、梨等の果物、甘酒 等
体の余分な熱を取り除くもの
きゅうり・トマト・なす・ゴーヤ等の夏野菜、スイカ等の果物、素麺・冷や麦等の麺類、お豆腐、わかめ、お酢、緑茶 等
体を温め、胃腸の働きを良くするもの
薬味野菜(生姜、葱、紫蘇など)、梅干し等
水分代謝を良くするもの
(利尿作用のあるもの)
瓜類(きゅうり、冬瓜等)、なす、とうもろこし、お茶、ハトムギ、豆類(小豆、枝豆等)等

※冷飲食・生のもの・甘いもの・脂っこいものの摂りすぎ、暴飲暴食は胃腸の働きを低下させるので注意。
水分補給も適量にして、こまめに少量ずつ摂りましょう。
※食べ物が傷みやすくなるため、食中毒に注意。
体の操作
激しい運動は、大量の発汗を伴いますので、ゆったりとでき、さらに丹田を充実させるものがよいです。例えば、ウォーキング(散歩の如く)、気功、太極拳、操体法、ヨガ、西式健康体操(金魚運動・毛管運動・合掌合蹠法・背腹運動等)、水泳等。
早朝や夕方の涼しい時間を利用して体を動かし、適度に汗をかきましょう。
心の在り方
  • 何事にも感謝できる心
  • 心を大いに伸びやかにしつつ、精神の集中とリラックスの調和
  • 日々情志愉快に過ごす
  • 否定的感情に囚われない
  • あるがままの自分を認めてあげる
  • 今に生きる
環境
  • 緑が多く、涼しい場所が良いです。時に海・山・高原で過ごすのも良いです。
  • 夏の日の長さ、太陽の光を楽しみましょう。
  • 湿気を吸収してくれ換気のよい木造建築、素材は天然のものを使い、青・緑系統の色をインテリアにとり入れると良いです。
  • 冷房は適度に使用し、冷房での冷やしすぎ、逆に蒸し暑い部屋で過ごすことにも注意します。
手足
手足を開放し、
素足の時間も作りましょう
特に、1日中靴を履き、さらに香辛料・アルコール・魚肉類を多くとる人は、湿熱を生み、足の水虫や皮膚病となりやすい為、 食事に気を付けると共に、自宅では出来るだけ手足を開放すると良いです。
入浴
シャワーだけでなく、時々湯船で温まり、血行・水分代謝を良くしましょう。

食養法

食は体や心の
健康をつくります

基本

食への感謝の心(食ベ物のいのち、大自然の恩恵、食べられるまでに関係した人々への感謝)
楽しく、感謝していただく。「いただきます」「ごちそうさま」

主食・副食

穀類を主食として、色々な種類の食べ物をバランスよく摂りましょう。

主食
穀類
:お米(発芽玄米など)を中心に、蕎麦・麦類など(季節・地域に応じて)
副食
野菜、きのこ類、海藻、豆類、魚介類、果物など

風土や季節、体調に合わせて

住んでいる土地の風土や季節、そして食べる方の年齢、性別、職業、体質・体調等に合った食を考えましょう。体に聞く事が大切です。

  • その土地の旬の食べ物(身土不二)
    :新鮮で栄養が豊富なだけでなく、その土地・季節に合った働きをもち、体を整えます。
  • 食べ物には五色、五味、五性があり、それぞれ働きがあります。
    五色(青・赤・黄・白・黒)
    五味(酸・苦・甘・辛・鹹)
    五性(寒・涼・平・温・熱)
    季節や体調に合わせてバランスよく摂りましょう。(調理の仕方により、五性、五味は変化します。)

摂りすぎに注意するもの

冷たいもの、生のもの、甘いもの、脂っこいもの、味の濃いもの、香辛料、コーヒー、アルコールは摂りすぎに気をつけましょう。

調味料

調味料はできるだけ添加物の入らない本来の製法で作られたものを選びましょう。

塩・砂糖
精製されていないミネラルが豊富なもの
味噌・醤油
充分に発酵されたもの

調理の仕方

  • 調理や組み合わせで、食ベ物のバランス、味・形・色合いを整えます。
  • 加熱・生食、臨機応変に取り入れ楽しみましょう。
  • 全体を無駄なく使いましょう。(全体食・生命食)
    (丸ごといただけるものを選んだり、皮等も可能な範囲でむかずにいただくか、上手く活用しましょう。)
  • 日本伝統の保存食・伝統食(味噌・醤油・梅干・たくあん・納豆・ぬか漬け・酢・みりん等、だし、味噌汁・煮物など)を大切にしましょう。
  • 油を使う時は酸化に気を付けましょう。

食べ方

  • よく噛んで、食のいのちを感じ、味わい、観察しましょう。
  • 腹八分目に(基本的に体に聞きます)。
  • お腹が空かない時、体調が悪い時などは無理に食べないように。

※色々な食養法、手当てがありますので、
必要に応じてとり入れるのもよいです。

食養法について ▼
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夏を快適に過ごす為に

夏を快適に過ごす為には、第一に梅雨からの準備、つまり梅雨の健康法を参考に健やかに過ごすこと、第二は夏の気候に上手く適応していくことになりますので、これからこの2点について述べていきます。

1.梅雨からの準備

梅雨の間、冷飲食や水分の摂り過ぎ、寒さ・冷房による体の冷え、湿の滞りなどにより、脾の働きが低下した状態、陽気不足の状態となっておりますと、夏の暑湿や冷房・冷飲食のライフスタイルの影響も受けやすく、夏バテ、胃腸の不調、夏風邪、冷え、関節痛等を起こしやすくなります。
従いまして、梅雨の健康法を充分生かすことがそのまま夏の健康につながっていきます。

2.夏の気候に適応していく

夏快適に過ごす為には、「夏の特徴と生活」で述べたことにつきます。
夏は「大散」の季節の為、皮膚の働きは、自律神経系を介して、汗腺を開き末梢血管を拡張し、皮膚呼吸や発汗を通じて、熱放散によって体内・体表を冷やし、夏の暑湿の気候に適応できるよう調節してくれています。従って、汗腺は冬とは違い閉じにくくなっている為、冷房などの過使用で、冷え(寒邪)を受け易く、さらに発汗しにくくなるので、全身倦怠・夏痩せ・食欲不振・手足の冷え、頭痛、或いは手足煩熱・浮腫等を伴う冷房病へ注意が必要です。
以上のことをふまえ、暑さとの調和を保ち、暑さを上手く利用する為、生活法で述べたように、冷房以外の方法でもほどよく涼をとり入れ、冷房の使い方に気を付けると共に、軽い運動、入浴、温かい飲食などにより適度に発汗して、熱放散により体を涼しくする事が大切になります。

夏は新陳代謝が活発になり、血脈循環・リンパ系の循環促進に役立つ為、新陳代謝の鈍っている人・高血圧の人・冷え症の人…等は、上手く夏の気候を利用していくと体質改善するチャンスとなります。

夏の主な症状

  • 日射病
  • 熱射病
  • ほてり
  • 口の渇き
  • 動悸
  • 息切れ
  • 多汗
  • 疲労感
  • あせも
  • 皮膚トラブル
  • 夏バテ
  • 下痢
  • 食欲減退
  • 食中毒
  • 冷房病
  • 水虫
  • 不眠
  • 思考力減退など
※現在、地球規模で気候の変動が起きており、季節の特徴にも変化が出てきております。
そのため、ここで述べたこととのずれも生じてくるかもしれません。
一人一人適応する方法を創造していくチャンスでもあります。ご不明な点はご質問ください。

当院ではお悩みを丁寧に伺い、
伝統医学をもとに、
ひとりひとりに合った方法で、

健康をサポートいたします。

ぜひお気軽にご相談ください。

当院をご利用のお客様でご希望の方に、院長著書の養生法をまとめた冊子(「いのちのしくみ」をあじわう / 和器出版)を差し上げております。ぜひご活用ください。

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