四季に応じた生活法

心身共に清く穏やかに、
生命力を内側に
収めていく季節

春から夏へ向かい、植物はぐんぐん伸び、葉をいっぱい茂らせ、花は咲き乱れ「上」、「外」へ向かっていた生命のベクトルは、万物が成熟し収蔵する秋の「涼・清」の空気にあたり、「下」、「内」へ向かい始めます。花や稲は実を結び、翌年のために生命力を種の中に「収」めて大地に帰ります。
心身が安定していれば春・夏に比べて気持ちも引き締まり、生命力を内側に収め、肺気を清らかに保つことで心身を養い、冬の「精蔵内」につながっていきます。
また、乾燥の影響が現れやすくなる「燥」の季節です。
秋は「収・降・涼・清・燥」がポイントとなり、陽から陰へと変化する時期です。
五臓では、呼吸器、皮膚、大腸等と関係し、免疫機能等を担う「肺」が影響を受けやすくなります。

秋の特徴と生活

陽気の発散・消耗を抑えるため、心身共に活動的になりすぎずゆったり休養し、体を冷やさないようにする工夫が必要となります。夏の疲れを和らげ、体の潤いを保ち、寒い冬に向けての体づくりをしていきます。

[ 収・降・涼・燥 ]
衣服
気の流れは外から内に向かい、夏の大散や冷房等の影響も受けて、体表の防衛力が弱まるため、それを補い、気温の変化に適応できるものがよいです。涼気が降り、首肩部と下半身が冷え易いので、天然素材の肌着、上着で保温し、夏の延長での薄着、ミニスカートには注意を要します。また、足の冷え易い人は、靴下の重ね履きも良いと思います。
食事
「食養法」を基本とします。

秋の涼気への対応
体を温めるもの(葱・生姜、味噌、鮭、かぼちゃ、甘酒等)、温かい飲食(加熱食)
秋の乾燥への対応
体を潤すもの
豆腐、胡麻、梨、れんこん、山芋、ハチミツ等
旬のもの
収穫の秋、体を養う旬のものをいただきましょう。
お米、芋(さつま芋、里芋 等)、根菜(人参、れんこん等)、種実(栗、くるみ、胡麻 等)、きのこ、さんま、鮭、梨、柿等
食欲の秋
動物界では食物の少ない冬に備えて蓄える時期でありますが、飽食の現代人には不要です。 程々に収穫の秋を楽しみ、食べ過ぎ飲み過ぎに注意します。
※果物、豆腐は体を冷やす為、食べ方・食べ過ぎに注意。
※冷飲食・香辛料の摂りすぎは肺の働きに悪影響を与えるので注意。
体の操作
  • 生命力を内側にしまいこみ始める季節の為、春夏と比べて汗を沢山かくような運動は避け、ゆったりと軽い運動をします。
  • 丹田を充実させ、防衛力を強めるものが良いです。
    ウォーキング、気功、呼吸法、太極拳、ヨガ、操体法、西式健康運動(背腹運動・毛管運動・金魚運動)等。
心の在り方
  • 秋は肺気を清浄にし、心を内に向かうようにしていくと良いです。
    心穏やかに少し引き締めて過ごすことが大切です。
  • 植物も実を結ぶ季節なので、何か訓練・新しいものを始めるよりも、身につけたものを発揮して、充実感を味わったり、芸術・読書等で心豊かに過ごすのにふさわしい時期です。
  • 憂いを感じやすい季節ですが、しっかりとした休養、日の光を浴びて体を動かす、バランスの良い食事等、生活を整え、おおらかな気持ちを持つ事が改善につながります。
環境
  • 暖かく、乾燥を防いで過ごすことが大切です。
  • 自然の環境とも親しみ、陰気を養っていくとよいです。
  • 住まいでは天然素材がよいですが、涼しくなってきますので暖色系のインテリアを取り入れるとよいです。
早寝早起き
良質な睡眠をとり、起きたら朝日をしっかり浴びましょう。

食養法

食は体や心の
健康をつくります

基本

食への感謝の心(食ベ物のいのち、大自然の恩恵、食べられるまでに関係した人々への感謝)
楽しく、感謝していただく。「いただきます」「ごちそうさま」

主食・副食

穀類を主食として、色々な種類の食べ物をバランスよく摂りましょう。

主食
穀類
:お米(発芽玄米など)を中心に、蕎麦・麦類など(季節・地域に応じて)
副食
野菜、きのこ類、海藻、豆類、魚介類、果物など

風土や季節、体調に合わせて

住んでいる土地の風土や季節、そして食べる方の年齢、性別、職業、体質・体調等に合った食を考えましょう。体に聞く事が大切です。

  • その土地の旬の食べ物(身土不二)
    :新鮮で栄養が豊富なだけでなく、その土地・季節に合った働きをもち、体を整えます。
  • 食べ物には五色、五味、五性があり、それぞれ働きがあります。
    五色(青・赤・黄・白・黒)
    五味(酸・苦・甘・辛・鹹)
    五性(寒・涼・平・温・熱)
    季節や体調に合わせてバランスよく摂りましょう。(調理の仕方により、五性、五味は変化します。)

摂りすぎに注意するもの

冷たいもの、生のもの、甘いもの、脂っこいもの、味の濃いもの、香辛料、コーヒー、アルコールは摂りすぎに気をつけましょう。

調味料

調味料はできるだけ添加物の入らない本来の製法で作られたものを選びましょう。

塩・砂糖
精製されていないミネラルが豊富なもの
味噌・醤油
充分に発酵されたもの

調理の仕方

  • 調理や組み合わせで、食ベ物のバランス、味・形・色合いを整えます。
  • 加熱・生食、臨機応変に取り入れ楽しみましょう。
  • 全体を無駄なく使いましょう。(全体食・生命食)
    (丸ごといただけるものを選んだり、皮等も可能な範囲でむかずにいただくか、上手く活用しましょう。)
  • 日本伝統の保存食・伝統食(味噌・醤油・梅干・たくあん・納豆・ぬか漬け・酢・みりん等、だし、味噌汁・煮物など)を大切にしましょう。
  • 油を使う時は酸化に気を付けましょう。

食べ方

  • よく噛んで、食のいのちを感じ、味わい、観察しましょう。
  • 腹八分目に(基本的に体に聞きます)。
  • お腹が空かない時、体調が悪い時などは無理に食べないように。

※色々な食養法、手当てがありますので、
必要に応じてとり入れるのもよいです。

食養法について ▼
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秋を快適に過ごす為に

秋を快適に過ごす為には、第一は夏からの準備、つまり、夏の健康法を参考に健やかに過ごすこと、第二は秋の気候に上手く適応していくことになりますので、この2点について述べていきます。

1.夏からの準備

『素問』四気調神大論篇で「夏の三月…これに逆らえば則ち心を傷り秋に痎瘧と為る。収を奉げる者少し。冬至らば病を重ねる」とあるように、

・夏の間に発汗等により充分な気の発散をしておかないと、秋の涼気により体の内部に熱がこもり、秋以降、内熱、血熱、血瘀体質に移行していってしまいます。
・夏の間、冷房で体を冷やし過ぎたり、冷飲食過多で消化器を冷やし過ぎた人は、秋の涼降気に変化していく過程で、自然界に適応する為、風邪や下痢という症状を呈してきます。また、胃腸機能の低下により栄養不足となっている場合、秋の乾燥等にもつながっていきます。
・夏の間の発汗過多では、気と体の潤いを消耗し、陽気や陰気が衰える為、様々な症状が出てきます。

従いまして、夏の健康法を充分生かすことがそのまま秋の健康につながっていくことになります。

2.秋の気候に適応していく

「秋の特徴と生活」で述べたことにつきます。
衣食住から体の操作、心の在り方等、清浄な空間の中で充分体験していかれると良いと思います。

秋の主な症状

  • 感冒
  • 呼吸器障害及びその悪化
  • 皮膚・粘膜のトラブル
  • 下痢
  • 倦怠感
  • 便秘
  • 抜け毛
  • 気分の落ち込み等
※現在、地球規模で気候の変動が起きており、季節の特徴にも変化が出てきております。
そのため、ここで述べたこととのずれも生じてくるかもしれません。
一人一人適応する方法を創造していくチャンスでもあります。ご不明な点はご質問ください。

当院ではお悩みを丁寧に伺い、
伝統医学をもとに、
ひとりひとりに合った方法で、

健康をサポートいたします。

ぜひお気軽にご相談ください。

当院をご利用のお客様でご希望の方に、院長著書の養生法をまとめた冊子(「いのちのしくみ」をあじわう / 和器出版)を差し上げております。ぜひご活用ください。

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